鶴ヶ島の注文住宅の続きです。
木構造には大壁と真壁と言われるものがあります。
大壁とは柱が露出しないで壁に隠れる仕上げで、真壁とは柱が露出して柱自体が化粧材として使われる構造です。
最近では、真壁づくりの和室はだいぶ減ってしまいました。
この住宅には2種類の和室があります。
真壁構造の和室の天井は竿縁天井という形の天井です。竿縁は天井板に直交している棒状のものです。
天井板は杉材で秋田杉の無垢材を使用しました。
無垢でこのまま仕上がるので、指紋や垢が付かないように慎重に施工していきます。
床の間の天井には網代天井を使用しています。
杉の薄い板状のものを1枚1枚編み込んでいます。
網代天井の模様は色々あるのですが、今回は矢羽根という模様です。
矢羽根は矢の後方につけられた羽根で、矢絣(やがすり)とも言われます。
弓矢は魔除けの意味で、縁起のいい文様です。
昔から矢絣(やがすり)は着物の模様にも使われています。
この網代天井は特注品で、杉の柾目で厚さは1mmの特厚です。
一般的な厚さの0.5mmからすると厚みがあるので、立体的に見えます。
真壁和室の方の押入れの襖紙は松と鶴があしらっている襖紙です。
この襖紙は織物で高級感があります。
鶴と松の組み合わせの図柄は伝統的におめでたい図柄で、着物などにもよく使われている図柄ですよね。
押入れの襖の引手は丸の桑引手です。
真壁和室の全体写真です。
床の間と神棚も造作しています。
床柱は杉の丸柱で、押入れの襖と床柱の取り合わせが難しいです。
障子や襖の敷居には竹すべりを使用しています。
プラスチックのものもありますが、竹すべりは昔から使われていて、すり減りにくく、使えば使うほど滑りやすくなりる高級素材です。
こだわり過ぎと言われるかもしれませんが、プラスチックよりも味が出て個人的には好きです。
小上がりの和室の畳は琉球風縁なし畳ではなくて、琉球畳です。
スタイロフォームなどがある畳ではなくて100%自然素材の畳です。
縁がないのが琉球畳と思われてる方もいますが、これは本物の琉球畳で耐久性があります。
その分、お値段もいいですが、一般的な畳より長持ちします。
畳の目の方向を変えて、市松模様になるように敷き詰めています。
小上がりの和室の押し入れの襖紙は市松模様で引手も四角い引手です。
こちらは柱がむき出しではないのでモダンな感じの和室になります。
上の写真の右側の板は自社工場で製材した西川材ヒノキで、節がない幅広のものを使用しています。
色味も綺麗で、西川材も十分いい材料として提供できます。
この和室は3畳しかないのですが、押入れの下部分が空いていることで、空間が少し広く感じられます。
リビングの横の和室なのですが、障子を閉めると隠れ家みたいになり、見学会でも「高級旅館みたい」と評判が良かったです。